アレルギーと花粉症のしくみ
アレルギーとは、害のない物質(アレルゲン)に対する免疫の過剰反応です。
私たちの体には、ウイルスや細菌など害のある異物が入ってきたときに、それらを攻撃するしくみがあります。それが免疫です。ウイルスや細菌が体内に侵入すると、リンパ球が活性化し、異物を攻撃する武器となる「抗体」という物質がつくられます。
アレルギーとは、この免疫が、花粉やダニ・ハウスダストなどの本来は害のない物質に対して過剰に反応してしまう状態です。アレルギー反応を引き起こす物質をアレルゲン(抗原)といいます。害のないアレルゲンを攻撃するために、抗体をどんどん産生してしまうことで、アレルギーの症状が起こるのです。
防御機能

ウイルスや細菌に対して攻撃
アレルギー反応

害のないアレルゲンに対して
抗体をどんどん放出
「IgE抗体」がアレルギー性の炎症を引き起こします。
「抗体」には、さまざまな種類がありますが、なかでもアレルギー反応に大きくかかわっているのが、「IgE(アイジーイー)抗体」です。
アレルゲンが体内で感知されると(❶)「Bリンパ球」という免疫細胞でIgE抗体がつくられます(❷)。アレルゲンとIgE抗体が、免疫細胞の一種であるマスト細胞に結合すると「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」などの化学物質が放出され(❸)これらが炎症を起こすのです。
アレルゲンとIgE抗体がアレルギー性の炎症を引き起こします
![1.アレルゲンが体内に侵入して感知される 2.Bリンパ球でアレルゲンと結合するIgE抗体がつくられる 3.アレルゲンとIgE抗体がマスト細胞の表面で結合すると、ヒスタミンやロイコトリエンなどの炎症化学物質が放出される 4.好酸球が炎症性のたんぱく質を放出 ⇒ [アレルギー性の炎症] <イメージ図>](./images/col-img-2-1.png)
参考:アレルギー総合ガイドライン2019(第1版), p6, 2019
花粉症のしくみ
花粉が「IgE抗体」と反応することで
鼻や目にアレルギー症状があらわれます。
花粉は体内のIgE抗体と反応し、アレルギー症状を引き起こします。具体的には、花粉を吸い込んだときに付着しやすい「鼻」を中心に、鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどの症状があらわれます。また、眼球に付着すると、「目」にもかゆみなどの症状があらわれます。それらの症状は、生活にも影響を及ぼすことがわかっています。
花粉症では鼻や目に症状があらわれます

IgE抗体が体内でどのような役割をして、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の症状を引き起こしているのか、動画でご紹介します。
IgE抗体が花粉症の症状を引き起こすしくみ
動画:季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の症状発現メカニズム
参考:Mandhane, S. N. et al.:Int Immunopharmacol. 11(11), 1646, 2011